ひとりっこよじはむ

よじはむだよォ〜おもしろいよォ〜

#6夏休みが終わらなくて困ってる

 

人生は終わらない夏休みである。

 

宿題は毎年終わらないまま新学期を迎えてました。

 

エッヘン。よじはむです。

急にイキりだすやん。って思った?俺も思ったシシシ。

冒頭のは人生のバイブルとして崇め奉っている玉井雪雄さん著「じこまん」の最終章にある話へのアンサーみたいなもんです。

 

 

玉井さんは在原業平の句「ついに行く 道とはかねて聞きしかど 昨日今日とは 思わはざりしを」を噛み砕いて「夏休みは永遠には続かない。31日の夜を迎えるまで、思う存分じこまんしようじゃないか。」ってそれはそれは痺れるまとめ方をなさっているんですよね。神じゃろ。玉井さんの漫画は全部コアに響くからオススメ。

この漫画、一番辛い時期に読んだから余計に響いたんだよね。

 

 

俺の父ちゃん母ちゃんはかつて倫理観がバグったヤンキーカップルだったそうで、とてもじゃないけどここには書けない理由で俺が産まれたばっかりの時に離婚。

母ちゃんも頑張って育ててたらしいんだけど途中で悪い男に引っ掛かっちゃったそうで借金返済の為にトーキョーへ出稼ぎに行ってたので、俺の人格が形成される思春期は丸々別居。

残された俺はおじいちゃんおばあちゃんにそれはそれは蝶よ花よと育てられ非常に甘ったれた性格のまま成長した。一人っ子の孫だなんて凄まじいだろ。俺やで。

当然危機感など無く、むしろ複雑な家庭環境にいる俺可哀想。みたいな謎ムーブをかましていたせいで脳の大事な所が全く育たず、高校生の頃にはとても弱々しいアダルトチルドレンが完成しました。

そんなんメチャクチャ苦労するじゃん…と思いきや、無自覚なずる賢さがあったみたいで外面だけはやけに良く、社交性を伸ばす事で社会に混ざりスルスルっと渡り歩いてしまったのである。ただ当時間近に居たバンドメンバーとか家族、バイト先の方々はマジで大変だったと思う。見捨てないでくれてありがとう。

高校卒業後ブラック会社に入っても尚上手くやったんだけどまた別の機会に。

転職も大成功し無事に結婚も出来て順風満帆。

しかしそんな甘ちゃんを神々が見過ごす事など無く、おそらく人生最初で最後の暗黒期が訪れる。

 

おし!バンド頑張るぞ!ってタイミングと第一子の妊娠出産が重なったのである。

しかも出産2ヶ月後とかに大舞台。結果的にはアレは詐欺でしたが腐っても大舞台でした。

まーはじめての妊娠に加えはるばる福島から嫁いできたもんで見知らぬ土地で過ごす不安でいっぱいなカミさんを置いて練習やライブに明け暮れなければならないんだから大変だよね。カミさんも黙ってないよね。そもそも明け暮れんなって話。

しかも当時はドラマーが居ないバンドで、良くサポートで叩いてくれた人が都内にいるためほぼ毎回都内に行かなければならなくてお金もマジで無かった。

そんでアダルトチルドレンよじはむはどうしたかって言うと上手く立ち回る事をせずカミさんよりバンドを優先しました。大変です。悪手です。自分で書いててヒヤヒヤしてきたよ。

夜中の練習?オッケーオッケー。みたいな。やめとけマジで。打ち上げも出るな。

カミさんも不安で不安でしょうがなかったから毎回どこで、何時までやるのかって聞くんだけど毎回毎回時間を大幅にオーバーして帰ってくるから最終的にお願いだから行かないでって言われた。

そこでどうしたでしょうか。普通は説明するなり、こうやんわり考えるじゃない。

僕は大爆ギレしました。妊娠後期、切迫早産で絶対安静の嫁に大爆ギレです。呆れて言葉も出ませんね。

大爆ギレした後、嫁が行くなって言うんで鬱です。練習行けません(原文ママ)ってLINEに書いて俺が大爆ギレされました。爆ギレは連鎖するらしい。みんな、穏やかに行こうぜ。

もうこん時には完全にキャパオーバーによる精神疾患パラダイスだったんだろうね。気がついた時にはすでに遅しってヤツで、今考えると常に悪手を取り続けてもうどうしようもない感じになっておりました。

全く感情の起伏をコントロール出来なかったから、なれもしないのにギターで生活しようと目論んでカミさんガン無視で練習に明け暮れ、何故か深夜3時に家を抜け出して公園で弾いたりベッドでギター練習したままギターを抱いて寝たりしてました。ぶっちゃけこんなんで上手くなれるなら皆プロな訳よ。そんな判断も出来ないから感情が沈んだ時に周りと比べてどうしてこんなに頑張ってるのにいつまでも下手くそなんだって本気でポロポロ泣いたりしてた。こんなんじゃ当然カミさんとも上手く行くわけがないよね。

そんでボロボロのまま夢の大舞台に立ったワケですが何に繋がるでも無い高級ブッキングイベントとなりました。大して友達も居ないので人を呼べなくて怒られたな。ちなみにこの時カミさんは呆れて実家に帰ってた。

家庭もダメ。バンドもダメ。仕事が唯一のオアシスだったんだが丁度時期を同じくして軽いやらかしをしてしまいまして、心がポッキリ折れました。

簡単に言うとフォークで物落として倉庫ブチ壊したんだよね。これが会議大好きな幹部に伝わりやいのやいの言われた。

一人おじいちゃんが「スピード出してたんだよね」って何度も何度もしつこく聞いてきて、本当に出してなかったから出してません。って何度も言ったんだけど、「あれはスピード出してないと落ちないよ」って本当しつこく言うもんだからついに俺も「出してねぇッツッダロガ!!!!!!!!」って大爆ギレする羽目に。怒んないの。

そんなんで毎日意味もなく今では些細なことで済むことが増幅して、積み重なってクタクタになっていた。ぼんやりと死にてぇなって思いが出始めたんだよね。

自殺って先に精神が死ぬよ。そして空っぽになった肉体が後から追っかけるっぽい。

車運転してると壁に突っ込もうとか、高い所に登ると落ちたいって思ってた。意気地が無いから溺死とかケミカル系は考えなかった。練炭は調べたら苦しいってあったからやめた。

毎日そんなメンタルで帰ってるもんだから、とある日に多分しょうもない喧嘩だったんだろうけどカミさんと喧嘩した時に極めてナチュラルに死のうって決めたんだよね。

喧嘩の途中で家出て車乗って会社に行った。情が働いたんだろうね。会社で死ねばお金が降りると思ったんだろう。会社は即死スポットが多数有るから死にやすいんだ。たださ、自殺じゃ金降りねっつの。

で、ビルで言うと何階だろうな…10階くらいかな。そこの設備からおっこって楽になろうとしたんだよね。今でも覚えてるけどこの年は本気で死ねばラクになると思ってた。間違っちゃいねえけどイカレてやがるぜ。カートコバーンも八方塞がりだったのかな。

会社に移動してる時にカミさんから鬼電が来た。最初無視してたけど何度もかけてくるから出来心が働いた。

電話に出て、今から死にま〜すって伝えたら案の定大爆泣きされて、なんか申し訳ない気持ちになったから自分用のコーヒーだけ買って帰った。やっぱり大爆泣きしてた。

この辺が折り返し地点だったのかな。何かこの日から死んでラクになるルートより耐えて耐えてラクになる地獄ルートの方が価値があるんじゃないかと思い始めた。

次の日の朝から死ぬほどダルい鬱々とした脳で一生懸命「今を耐えたらラクになる」って何度も何度も復唱した。

不思議なもんで病は気からだったのか、ファッション甘ったれ躁鬱だったのか分からないけど徐々に良くなってきたんだよね。結局最強になった現在に至るまでクスリは飲まなかった。

割と早い段階で死ぬことは考えなくなった。

 

一つ、大きな治療があったとしたら、丁度この頃ロードバイクにハマって、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしてたんだよね。ロードバイクは良いんだ。しこたま漕いでるだけで纏まらない頭が無になるから休める。体がキツいから考えてるヒマがないんだ。

そんでロードバイクの漫画、弱虫ペダルから始まって玉井雪雄さんにたどり着くワケです。

じこまん はもう当時の俺にはドンズバで即人生のバイブル化。何度読んだか分からないくらい繰り返し繰り返し刷り込むように読んでた。今もだけどね。

じこまんって言葉は俺にとって重要なもんだからゲシュタルト崩壊するくらいには意識したし、今となっては風景の一つみたいなモンなのね。なのねっつってもみんな分かんないだろうから引用しつつ軽く触れようと思う。

 

人が好きでやっている事や得意な事はすべからく自分で選択していると思っている人は多いと思いますが、意外とそうでもないんですよ。

例えば小さい頃にたまたま上手くいった事、ボールを上手に蹴れたとかでもいい。なんでも褒められると脳に快感物質がバーーーーッと出るじゃないですか。

その快感物質を味わいたくて何度も何度もやる。そして褒められるのが減ると工夫する。結果知らないうちにその事自体が好きになっている。つまり人から褒められることはメッチャクチャ大事なんです。

しかし大人になるにつれて人から褒められることは極端に減っていく。自分の大事な人や社会はなかなか分かってくれない。

そんなんなら自分の評価は自分で下す。人から褒められない事で腐るより自分で自分を褒めてHAPPYになろうじゃないか。

これが自分で自分を評価できる大人にしか得られない快感。つまり じこまん なんです。微笑息(ニヤリ)

玉井雪雄 じこまん 3巻より

 

 

初めて読んだ時は頭ガツーーーーンってなった。

結局当時は自分が考えなきゃいけないことを他人に全部押し付けてコントロールが効かなくなって自爆してるんだから、全て自分の価値観で決めて満足する"じこまん"は衝撃だった。

同時にコレじゃん。と、凄まじく出来のいいコンパスを手にした気分になった。使ったことないけどコンパスってなんかかっこいいじゃん。ビリーバー。

 

今はこの通り、元通り以上にラクに生きられるようになった。

色々あったけど全部なかった。死のうとした事も全部楽しい思い出に昇華した。太古の昔の人類と全く一緒の、全部見て全部忘れる事をしただけだ。

キャパは変わっていないんだけど、一つ一つの事柄が小さくなるにつれて思い出が大きくなってるイメージがある。当時じゃ信じられないスピードでタスクを食ってるのはこう言うことなんだろう。

あまりに充実した毎日の前に目的としての死は鳴りを潜め、死は余暇でしか無くなっている。死はザコ。お化けみたいなもんだ。

死んでも尚夏休みは続くよ。きっと日が短くなるだけ。

今日は2人分のカフェオレを買って帰ろう。